青空文庫

「樹木とその葉」の感想

樹木とその葉

じゅもくとそのは

06 四辺の山より富士を仰ぐ記

06 あたりのやまよりふじをあおぐき

若山牧水16
自然と人間の冥通農村の生活郷愁叙情的懐古静謐

書き出し

駿河なる沼津より見れば富士が嶺の前に垣なせる愛鷹の山東海道線御殿場驛から五六里に亙る裾野を走り下つて三島驛に出る。そして海に近い平地を沼津から原驛へと走る間、汽車の右手の空におほらかにこの愛鷹山が仰がるる。謂はば蒲鉾形の、他奇ない山であるが、その峯の眞上に富士山が窺いてゐる。いま私の借りて住んでゐる家からは先づ眞正面に愛鷹山が見え、その上に富士が仰がるゝ。富士といふと或る人々からは如何にも月並な、

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