青空文庫

「御門主」の感想

御門主

ごもんしゅ

女性の内面文壇交友都市の異化叙情的軽妙

書き出し

先刻まで改札の柵の傍に置いてあつた写真器は裏側の出札口の前に移されて、フロツクコートの男が相変らず黒い切を被いだり、レンズを覗いたりして居る。その傍に中年老年の僧侶が法衣の上から種々の美しい袈裟を掛けて三十五六人立つて居る。羽織袴の服装の紳士もそれと同じ数程居て、フロツクコートを着た人も混つて、口々に汽車が後れたから、汽車が定刻より遅く着くさうだからと云つて居る。この様を場内の旅客が珍らしさうに立

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