青空文庫

「青年」の感想

青年

せいねん

初出:「昴」1910(明治43)年3月~1911(明治44)年8月

鴎外345
下宿生活文明開化都市の異化厳粛静謐

書き出し

壱小泉純一は芝日蔭町の宿屋を出て、東京方眼図を片手に人にうるさく問うて、新橋停留場から上野行の電車に乗った。目まぐろしい須田町の乗換も無事に済んだ。さて本郷三丁目で電車を降りて、追分から高等学校に附いて右に曲がって、根津権現の表坂上にある袖浦館という下宿屋の前に到着したのは、十月二十何日かの午前八時であった。此処は道が丁字路になっている。権現前から登って来る道が、自分の辿って来た道を鉛直に切る処に

2016/12/04

小春さんの感想

本人含めた実在の作家が出てくるのは面白い。小泉青年は考えてばかりで疲れそうだね。結局作家として世に出るのか、女たちとはどうなるのか分からないまま終わるのは消化不良。文体も漱石のようなくすっと笑えるようなおかしみがなくて固いのが鴎外さんらしい。

2015/08/05

3e9c4b240bacさんの感想

青年というからには、若さとか情熱とか燃え上がる恋とかいうものを想定しがちだが、そこはやっぱり鴎外翁。理性的でストイックな主人公に仕上がってます、 ただ、純一(主人公)の青年らしい拙さは、「(芸術のために)恋にあこがれてるけど、恋を始めるきっかけがわからない」ところかな。 あるきっかけで知り合った美人の後家に弄ばれ?て、この恋?に飛び込んで良いのかどうか躊躇っている。 しかも、恋愛の手本をヨーロッパの小説に求めているところなんて、いかにも初々しい理想の高さが伺える。 その美貌から、作中なんどか恋愛フラグか 立っているのに、同性(大村さん)までもが、この美貌とかわゆい笑顔にめろめろになって「もしかして自分はホモなんじゃ?」とか思っちゃうのに、恋愛に対していまいち上手く立ち回れない(理想や理性や経験の未熟さから掣肘されて)、 そんな『青年』の物語でした。 ただこの純一という青年、あと五年も東京いれば、さぞや立派やプレイボーイとなるでしょう(笑)そのころまでに、立派な作品を書き上げられているかどうかは…わかりませんがww

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