青空文庫

「青衣童女像」の感想

青衣童女像

せいいどうじょぞう

初出:「雑味」1931(昭和6)年9月

回顧的芸術家描写虚構と真実郷愁叙情的懐古静謐

書き出し

木枯らしの夜おそく神保町を歩いていたら、版画と額縁を並べた露店の片すみに立てかけた一枚の彩色石版が目についた。青衣の西洋少女が合掌して上目に聖母像を見守る半身像である。これを見ると同時にある古いなつかしい記憶が一時に火をつけたようによみがえって来た。木枯らしにまたたく街路の彩燈の錦の中にさまざまの幻影が浮かびまた消えるような気がするのであった。十四五歳のころであったかと思う。そのころ田舎では珍しか

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