青空文庫

「秋果」の感想

秋果

しゅうか

初出:「改造」改造社、1941(昭和16)年9月1日

芙美子40

書き出し

芝居が閉ねて劇場を出ると、もんは如何にも吻つとしたやうに暗い街を歩いた。おなかが空いてゐたけれど、もうこのごろは何一つこんなに遲くまで食物店をひらいてゐる店もない。芝居もどりの人達が、ぞろぞろ自分のそばを通つてゐた。新宿行の電車の通つてゐる四ツ角の安全地帶のところまで來ると、もんは誰かが自分の肩を強く押して通つたやうな氣がして、ふつと振り返つたけれど、誰が肩を押して行つたのか、たゞ、自分のまはりを

2023/06/05

鍋焼きうどんさんの感想

「木綿のハンカチーフ」的な失恋の後、煮え切らない付き合いの続いた男と女。恋は苦しむものと悟りながら前向きに生きていく女に比べ、男は妻を亡くして零落し、自棄するように去っていく。蓋し、女は逞しい。

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