たにまからのてがみ
初出:「令女界」1931(昭和6年)10月号
書き出し
第一信まるで、それは登山列車へでも乗つてゐるやうでありました。トンネルを抜けるたび、雲の流れが眼に近くなつて、泣いたあとの淋しさを感じてゐます。「貴女のいらつしやる町はあれなンでせうね」さう言つて、東京から一緒だつた兵隊さんが、谷間に見える小さい部落を指さします。まるで、子供の頃見たパノラマのやうに、森や、寺や、川や、学校がチンマリとして、農家の小さい庭には木槿や百日紅、をどりこ草、黄蜀葵、サルビ…
6998a27c94e7さんの感想
彼女の名前は知っていたけれど、作品を読むのは初めて。 誰かに宛てた手紙から情景がはっきりと見えてくる。 他の作品も読みたいと思った。