青空文庫

「筆のしづく」の感想

筆のしづく

ふでのしずく

幸徳秋水15
喪失と記憶文壇交友歴史的背景社会疎外厳粛回顧的憂鬱

書き出し

一近日何ぞ傷心の事多きや、緑雨は窮死し、枯川は絏紲の人となる、風日暖にして木々の梢緑なる此頃の景色にも、我は中心転た寂寞の情に堪へず、意強き人は女々しと笑はん、我は到底情を矯むるの力なし。緑雨は病めりき、左れど彼の死せるは病めるが為めに死せるにはあらず、病を養ふ能はざるが為めに死せるなり、繰返していふ、緑雨の死せるは病ありしが為めにあらず、金なかりしが為めなり。彼は心やさしく、友に厚かりき、左れど

1 / 0