青空文庫

「尾生の信」の感想

尾生の信

びせいのしん

初出:「中央文学」1920(大正9)年1月

古典の翻案孤絶死の受容静謐叙情的憂鬱

書き出し

尾生は橋の下に佇んで、さっきから女の来るのを待っている。見上げると、高い石の橋欄には、蔦蘿が半ば這いかかって、時々その間を通りすぎる往来の人の白衣の裾が、鮮かな入日に照らされながら、悠々と風に吹かれて行く。が、女は未だに来ない。尾生はそっと口笛を鳴しながら、気軽く橋の下の洲を見渡した。橋の下の黄泥の洲は、二坪ばかりの広さを剰して、すぐに水と続いている。水際の蘆の間には、大方蟹の棲家であろう、いくつ

2025/04/12

猫のにゃんたろうさんの感想

尾生の魂を宿した人間。いろいろと繊細すぎて何回か読み返した作品。

2023/05/29

鍋焼きうどんさんの感想

尾生の魂を宿した芥川、その魂を受け継いでいる読者が今もどこかにいるのだろう。無為に何かを待っている誰かが。

2023/04/20

4c7b57ad3494さんの感想

一人の男がすがるように、あるいは意地で信じた約束と顛末。男の人生に想像力がかきたてられる。 オチはくすっとした笑いと清々しさを感じた。

2020/12/22

19双之川喜41さんの感想

 「何一つ意味のある仕事ができない」 芥川の焦燥(しょうそう)は 幾千年の漂泊した魂から始まる。 一体 蟹の穴に 波のあたる音が 聴こえるものだろうか。 繊細さは つらいものだと感じた。

2018/03/06

青鷺さんの感想

芥川の壮大な言い訳 (17)

2016/09/20

2d524b49fe98さんの感想

良いアイデアを女性、良いアイデアを思案する自分のことを、来るかも分からないその女性を待ち続ける男性に例えている。 芥川龍之介はその女性に会うため、常人よりも、多くの自分の人生の時間を、待ち続けることに費やした人だったのだろう。

2016/09/05

74d4afcf3f64さんの感想

感じ方によっては迫力を感じると思います。どの場面も心に残りますよ。でも、終わり方がビミョーです。

2016/08/06

99405a3d8e74さんの感想

夜半に海へ流れる尾生の死骸、月の光に誘われぼんやりと昇天していく尾生の魂の場面が美しくて一等心に残ったいます。女はまだ来ない。尾生は最後まで信じていたんだなあ。前世が今生に影響しているのだという主張が興味深かった。

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