青空文庫

「詩集『花電車』序」の感想

詩集『花電車』序

ししゅう『はなでんしゃ』じょ

創作背景戦争描写文壇交友芸術論回顧的憂鬱静謐

書き出し

今まで、私は詩集を読んでゐて、涙が流れたといふことはない。しかし、稀らしい。私はこの「花電車」を読みながら涙が頬を伝って流れて来た。極暑の午後で、雨もなく微風もない。ひいやりと流れて来たのはひと条の涙だけ——ああこれは、おれの涙かなと私は思ひ、詩人の貌をしばらく遠空に描いてゐた。私はこの風顔が好きである。私は戦争中一番愉しく眺めたのは、アンリ・ルッソオの絵だった。それも汚ならしく皺のよった、たった

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