青空文庫

「聖ニコラウスの夜」の感想

聖ニコラウスの夜

せいニコラウスのよ

初出:「三田文学 四ノ一―四」1913(大正2)年11月~12月

鴎外37
下層階級の描写下町風土家族不和叙情的静謐

書き出し

テルモンド市の傍を流れるエスコオ河に、幾つも繋いである舟の中に、ヘンドリツク・シツペの持舟で、グルデンフイツシユと云ふのがある。舳に金色に光つてゐる魚の標識が附いてゐるからの名である。シツペの持舟にこれ程の舟が無いばかりでは無い、テルモンド市のあらゆる舟の中でも、これ程立派で丈夫な舟は無い。この大きい、茶色の腹に、穀物や材木や藁や食料を一ぱい積んで、漆塗の黒い煙突から渦巻いた煙を帽の上の鳥毛のやう

2025/08/11

艚埜臚羇1941さんの感想

  その地では 聖ニコラウスの 夜に 産まれる  赤ちゃんは 縁起が 良いと されているけど 妻の 出産の日に 産婦の 夫は 溺れ かかった 男を 助けようとして その男は 妻を 辱め 子を 孕ませた 憎き 間男と 気がつき ことさらに 溺死させて しまう。冴えた 情景の 描写には 味わいが あり 上質の 作品と 感じた。

2016/04/13

3e9c4b240bacさんの感想

ルモンニエーが世間的評価の低いことを遺憾に思っている鴎外翁が、ちょっとした大胆な試みを施行しながら和訳した作品。 臨月の妻をもつ主人公、あるとき河で溺れかけの男を助けようとした。しかしその男は奇しくも、わが愛しい妻を孕ませた憎き男だった。 二人は溺れかけながら揉み合って、結果……という話。 内容はともかく森鴎外のこの作品への愛は伝わってきたな。 とくに家族の交情の暖かさはよかったです。

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