青空文庫

「火のついた踵」の感想

火のついた踵

ひのついたかかと

初出:「中央公論」中央公論社、1922(大正11)年9月号

家族不和文明開化芸術家描写都市の異化分析的静謐鬱屈

書き出し

人物奥平振一郎統計学者(三十歳)みさ子振一郎の妻(十八歳)橋詰英一みさ子の従兄(二十四歳)谷三郎英一、みさ子の友人(同)吉沢朝子(登場せず)みさ子の友達(十九歳)女中きよ場所東京。時現代。或る五月。第一奥平の客間上部の壁や天井は白く、下部を、暗緑色の壁紙で覆うた洋室。正面は、浅く広いヌック。大きい三つの窓に、極く薄い肉桂色の窓帷が、黒い鮮やかな飾紐で片よせられ、簡素な形のマホガニーの円卓子、布張の

1 / 0