青空文庫

「さまよえる猶太人」の感想

さまよえる猶太人

さまよえるユダヤじん

初出:「新潮」1917(大正6)年6月

古典の翻案異国情緒虚構と真実回顧的怪奇

書き出し

基督教国にはどこにでも、「さまよえる猶太人」の伝説が残っている。伊太利でも、仏蘭西でも、英吉利でも、独逸でも、墺太利でも、西班牙でも、この口碑が伝わっていない国は、ほとんど一つもない。従って、古来これを題材にした、芸術上の作品も、沢山ある。グスタヴ・ドオレの画は勿論、ユウジァン・スウもドクタア・クロリイも、これを小説にした。モンク・ルイズのあの名高い小説の中にも、ルシファや「血をしたたらす尼」と共

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