青空文庫

「殺された天一坊」の感想

殺された天一坊

ころされたてんいちぼう

初出:「改造」1929(昭和4)年10月号

浜尾四郎35
歴史的人物の描写犯罪の動機虚構と真実厳粛叙情的回顧的

書き出し

一あれ程迄世間を騒がせた天一坊も、とうとうお処刑となって、獄門に梟けられてしまいました。あの男の体は亡びてもあの悪名はいつ迄もいつ迄も永く伝えられる事でございましょう。世にも稀な大悪人、天下を騙し取ろうとした大かたり、こんな恐ろしい名が、きっとあの男に永く永くつき纏うに違いございませぬ。私のようなふつつか者が廻らぬ筆をとりましたのも、その事を考えましたからでございます。私からはっきりと申しますれば

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