青空文庫

「縮図」の感想

縮図

しゅくず

徳田秋声374
下町風土文明開化社会疎外分析的静謐

書き出し

日蔭に居りて一晩飯時間の銀座の資生堂は、いつに変わらず上も下も一杯であった。銀子と均平とは、しばらく二階の片隅の長椅子で席の空くのを待った後、やがてずっと奥の方の右側の窓際のところへ座席をとることができ、銀子の好みでこの食堂での少し上等の方の定食を註文した。均平が大衆的な浅草あたりの食堂へ入ることを覚えたのは、銀子と附き合いたての、もう大分古いことであったが、それ以前にも彼がぐれ出した時分の、舞踏

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