青空文庫

「登山の朝」の感想

登山の朝

とざんのあさ

辻村伊助14
文明開化旅の情景自然と人間の冥通緊張静謐

書き出し

八月一日はブンデスタークだ、スウィス開国の記念日である。二階の寝室で目ざましがチリチリ鳴り出した、腕時計の針はちょうど午前一時を示している、いぎたなく寝込んでしまった近藤君をたたき起こして、隣の室に出ると、上からガイドの連中が降りて来た。外は、山稜にたち切られた空に星が冷たくまたたいて、風はないが非常に寒い。入口の水たまりは、むろん、厚く凍って歯をみがくどころの騒ぎではない。簡単な食事を無理やりに

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