青空文庫

「狼の怪」の感想

狼の怪

おおかみのかい

孤絶怪奇自然と人間の冥通幽玄静謐

書き出し

日が暮れてきた。深い山の中には谷川が流れ、絶壁が聳え立っていて、昼間でさえ脚下に危険のおおい処であるから、夜になっては降りることができない、豪胆な少年も当惑して、時刻に注意しなかったことを後悔した。彼はしかたなしに大きな岩の下へ往って、手にしていた弓を立てかけ、二疋の兎を入れている袋といっしょに矢筒も解いて凭せかけた。右手に方って遠山が鋸の歯のように尖んがった処に、黄いろな一抹の横雲が夕映の名残り

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