青空文庫

「空襲葬送曲」の感想

空襲葬送曲

くうしゅうそうそうきょく

初出:「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号

海野十三273
下町風土家族不和日常の非日常叙情的回顧的鬱屈

書き出し

父の誕生日に瓦斯マスクの贈物「やあ、くたびれた、くたびれた」家中に響きわたるような大声をあげて、大旦那の長造が帰って来た。「おかえりなさいまし」お内儀のお妻は、夫の手から、印鑑や書付の入った小さい折鞄をうけとると、仏壇の前へ載せ、それから着換えの羽織を衣桁から取って、長造の背後からフワリと着せてやった。「すこし時間がおかかりなすったようね」「ウン。——」長造は、言おうか言うまいかと、鳥渡考えたのち

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