かなしきちち
書き出し
一彼はまたいつとなくだん/\と場末へ追ひ込まれてゐた。四月の末であつた。空にはもや/\と靄のやうな雲がつまつて、日光がチカ/\桜の青葉に降りそゝいで、雀の子がヂユク/\啼きくさつてゐた。どこかで朝から晩まで地形ならしのヤートコセが始まつてゐた……。彼は疲れて、青い顔をして、眼色は病んだ獣のやうに鈍く光つてゐる。不眠の夜が続く。ぢつとしてゐても動悸がひどく感じられて鎮めようとすると、尚ほ襲はれたやう…
おさん
接吻を盗む女の話
ゆく雲
阿波のケンさんさんの感想
彼は自分の事を父と呼んでいる。父は貧しい詩人で結核を病んでいる。妻を亡くし子供を遠くの母に預けている。家財を売って子供に靴を贈る。病気は益々悪くなる。どうにも出来ない境遇を描いている。