青空文庫

「赤い着物」の感想

赤い着物

あかいきもの

初出:「文藝春秋」1924(大正13)年6月号

横光利一10
下町風土季節の移ろい少年の日常叙情的静謐

書き出し

村の点燈夫は雨の中を帰っていった。火の点いた献灯の光りの下で、梨の花が雨に打たれていた。灸は闇の中を眺めていた。点燈夫の雨合羽の襞が遠くへきらと光りながら消えていった。「今夜はひどい雨になりますよ。お気をおつけ遊ばして。」灸の母はそう客にいってお辞儀をした。「そうでしょうね。では、どうもいろいろ。」客はまた旅へ出ていった。灸は雨が降ると悲しかった。向うの山が雲の中に隠れてしまう。路の上には水が溜っ

2024/03/27

6d9568904a1dさんの感想

とても美しいものを見たような、とても恐ろしいものを見てしまったような、いままでにない感覚。一文一文が短く簡潔なのに、眼前に景色が豊かに広がっていくような文章でした。

2022/05/22

ローズさんの感想

この方の日本語心地よい。坊っちゃんが亡くなった後の悲しみや儀式は敢えて描かなかったのか。さらりと終わったが何か後に残った。

2022/03/08

19双之川喜41さんの感想

 宿屋の 幼い息子は 泊まり客である 子供たちを 遊ばせるのが  巧みであった。 ある時  遊ばせるのに夢中で 階段から落ちて  そのまま死んでしまった。 点灯夫▫銅 壷の 湯気▫飛脚の提灯など 風情にあふれていると感じた。

2021/12/28

c927de49805fさんの感想

母親の悲しむ描写がすっぽり抜け落ちているのは、あえて余白を作り、読者の想像で埋めてもらおうとしているのでしょうか。 自分の命をどれほど特別視しても、死ぬ時はあっさり死ぬ、という無常感じみたものを感じました。

2021/03/22

8378e37a477fさんの感想

世の中は常に無常であって、尚日々は繰り返される。灸や女の子のあどけない可愛らしさの光景が、目に浮かぶような鮮やかな表現だった。横光利一氏の小説は初心者だがこんなに美しい文を描く人だったのか。 哀しく美しく儚い。可憐なシャボン玉が弾けて割れたような終わりだった

2021/03/03

0e38331fe355さんの感想

校正もれがあります。2箇所かな。

2016/09/24

b76b8410678aさんの感想

横光の小説はいつも私に大切なことを思い出させてくれる。つまりどういうこと?という、要約の衝動がこんな時にも現れる病のようになっていることと、小説は本質的に要約とは相容れないものだということを。 だから、自分が自分で扱いにくくなると横光を読む。効き目は抜群だ。

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