青空文庫

「土俵の中の日本」の感想

土俵の中の日本

どひょうのなかのにっぽん

初出:「文學界 第七十八巻第十号」文藝春秋、2024(令和6)年10月1日

福永10

書き出し

アントニオ・マヌエル・デ・オリヴェイラ・グテーレス国連事務総長が祈りの途中で幻想的なヴィジョンを初めて見たのは、二年前の春のことだった。家具がいくつもキラキラ光りながら浮かんでおり、とりわけ白く輝いていたのが非常に長いテーブルであった。テーブルの一方の端は孤独な惑星のように遠く感じられた。オイと呼びかけてみると、かなり長く待ってから、耳もとにズドラーストヴィチェと聞こえた。目を凝らして先を見るが、

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