青空文庫

「いまだ癒えぬ傷あと」の感想

いまだ癒えぬ傷あと

いまだいえぬきずあと

――放射線火傷で右手をうしなつた木挽きの妻と河原にうつ伏せて死んでいた幼女に――

――ほうしゃせんやけどでみぎてをうしなったこびきのつまとかわらにうつぶせてしんでいたようじょに――

大田洋子12

書き出し

放射線火傷で右手をうしなつた木挽きの妻にあなたはその後どうしていますか。あなたと私は、あの高原の山里で、いわば行きずりの旅の者同志にすぎなかつた筈ですのに、あれから四年經ついまも、私は折りにふれてはあなたのことをたびたび思いだしています。あの女のひとはどうしているだろうと、名前も知らないあなたのことを思い出すたびに、私の眼の前に浮彫になつてはつきり現れる、一本の女の右腕があるのです。それはあなたの

1 / 0