ろっこうさんじょうのなつ
初出:「無憂華」実業之日本社、1927(昭和2)年
書き出し
薄紫の可憐な松虫草は、大空の星が落した花のような塵にもまみれず、爽やかな夏の朝を、高原のそこここに咲いていた。美しい糸を包んだ薄は日に/\伸びてゆき、山上の荘は秋もまだ訪ずれぬのに、昼さえ澄んだ虫の声をきくのであった。海抜三千尺という山の上から望む茅渟の海は、遠く視野のはて、紀淡海峡を去来する汽船の煙が長く尾を引いて、行方も知れず空に消えてゆく。——山の上といっても、道がよく開けて散歩に楽なのと、…
艚埜臚羇1941さんの感想
あの有名な ゴルフ場も 当時から 存在したようである。おもに外国人向けの 施設で 邦人の 利用者は ごく すくなかったと きく。 九条は 気宇壮大な 歌を 詠む お方と感じた。