はなれてゆくあき
書き出し
鴎はシグナルのやうに飛び交ふ!海底に私は濡れた火薬として沈む!赤いマストは折れてドテツ腹を突き通してゐる!君の心臓には黒い無為の切手が刷つてある!錨の上らない程の海の憂愁は幾匹もの魚を胸に泳がせる!寒流である————————●●●鋏で切られてゐる空だ!握手にのみ充満と爆発はひそむ!すでに秋は海底から熱情に錆びをあたへる!「さようなら!」底本:「日本の詩歌26近代詩集」中央公論社1970(昭和45)…