青空文庫

「或る時の詩」の感想

或る時の詩

あるときのし

書き出し

心の嵐が今去つたところだ熱い嵐の中で、つめたい心がこゞえて獣になつて魂の野を走りまはつてゐた。火に烙かれながら、一つの氷が曇り日の天に向つて叫んだ。心の嵐が今去つたところだ。疲れた氷の火が静かにとけて秋の曇り日の天の下に春のやうなひかりを感じる。やつと見つけたお母さんの乳房に泣きじやくりながら、かじりつく赤ん坊に私のこゝろは似てゐると思ふ。底本:「日本の詩歌26近代詩集」中央公論社1970(昭和4

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