ちなるひびき
初出:「国詩 第五号」1905(明治38)年7月10日
書き出し
暗き浜辺をたどり来たり、水際真近く砂を握る。握る真砂のもろきうちに、闇の力はその尾振ひ、手をばつたひて胸に響く。君よ、御空の星を説きて、地なるひゞきを忘る勿れ、遠き深みの浪は寄せて、幾重打ちては畳む砂ぞ。たとへもろくぞ砕け去りて、手には残れる形なくも、永劫の憂ひを布くは如何に。暗き浜辺に砂を握り、君に云ふべき事ぞ多き。底本:「日本の詩歌26近代詩集」中央公論社1970(昭和45)年4月15日初版発…