青空文庫

「感覚の殻」の感想

感覚の殻

かんかくのから

書き出し

そこは耐え難いほど変わっていなかった。黒っぽくまとめられた薄暗い部屋。一つのものから別のものへと視線を向けるたびに痛みが襲った。私の地上での日々を取り巻いていた心地よく馴染み深いものども。私の本質が信じられないほど変わってしまっていても、それらは鋭く私の注意を穿った。本棚から本を抜き出した跡がそのまま。世話をしてきた羊歯の繊細な指が尚も光に向かって徒に伸びようとしている。私の物だった小さな時計は、

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