青空文庫

「庶民の食物」の感想

庶民の食物

しょみんのたべもの

初出:「あまカラ 新年号 第六十五号」甘辛社、1957(昭和32)年1月5日

書き出し

魚をじかに火で炙るということは、ほかの国ではしないことなのか。西洋を旅行して、裏町を歩いても、魚を焼く匂いをかいだ記憶はないように思う。青煙散ジテ入ル五侯ノ家、という唐詩の句は、別のことを詠じたものであるが、とにかく、脂ののった魚を焼く煙が、民家の軒をくぐって青く夕暮の空に上るという景色は、日本独特のもので、われわれに強く国土と季節を感ぜしめる。魚を焼くといえば、まずサンマと鰯を想うが、この国で、

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