まど
初出:「古賀春江画集」第一書房、1931(昭和6)年
書き出し
窓古賀春江沢山な窓のある家、一つ一つの窓から顔が出てゐる。顔には地図が描いてある。みんなの地図が読める、鳥籠も描いてある、花もあり、コップも、望遠鏡も、並ぶ顔、水筒、霧、黎明とパイプも確実につながつてお互の陰翳を持つてゐる。痙攣する避雷針の窓からまた一つの顔を見ないか、揺れる、揺れる、椅子が、星が、黒い夜の絵具は沈黙して語らない——その後の顔等に就いては。今はただ明るく揺れる顔がある。底本:「画家…