青空文庫

「モンテーニュ随想録」の感想

モンテーニュ随想録

モンテーニュずいそうろく

01 はしがきに代えて――モンテーニュとの六十年――

01 はしがきにかえて――モンテーニュとのろくじゅうねん――

初出:「朝日新聞 夕刊」1983(昭和58)年2月21日

書き出し

初めてモンテーニュの名を知ったのは大正五年東大仏文研究室におけるエック先生の講義によってであった。聴講者は鈴木信太郎、須川弥作、岸田國士、井汲清治、それに私の五人、当時「仏文はじまって以来の盛況」と言いはやされた。前年は新入生皆無、三年生に山本直文唯一人という時代のことである。私はその名を知っただけでボンヤリしていたが、鈴木君の方は当時刊行中の〈ボルドー市版エセー〉をいつの間にか手に入れ、卒論に「

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