のうさいぼうにっき
書き出し
一番ヶ瀬隼人が日記をつけ始めたのは半年前、大学の図書館で何気なく立ち読みしていた古い医学書の中に、二十歳を過ぎると人間の脳細胞は一日十万個ずつ死んでいき、一度死んだ脳細胞は決して再生することがないという恐るべき記述を見出した日からだった。彼はその日アパートに戻って電卓で計算した。自分は今二十一歳と二ヶ月だ。自分の脳細胞が二十歳の誕生日までは百五十億個あったと仮定すると、現在百四十九億五千七百四十万…