青空文庫

「ある偃松の独白」の感想

ある偃松の独白

あるはいまつのどくはく

初出:春雪写山行「旅」1940(昭和15)年4月

書き出し

剱岳列嶂(後立山布引より)序これは私の前著「山岳渇仰」——戦時最悪の条件下で生れた——に次ぐ第二集で、あれに洩れたものと、その後の文章から選んで、ささやかな一本に纒めたものである。書名はその中の一篇から採った。山は私にとって全くありがたい存在なのである。いつからか私は山に向えば、思わずぬかずき、拝む癖がついている。いわば山は、わたくし流の自然教の偶像といってもいい。思えば明治の探検期以来、半世紀を

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