青空文庫

「この頃の皇太子殿下」の感想

この頃の皇太子殿下

このころのこうたいしでんか

初出:「文藝春秋」文藝春秋新社、1959(昭和34)年1月号

小泉信三12

書き出し

今の東宮仮御所のある渋谷常盤松の辺は、土地がゆるやかに起伏し、道路が不整な線をなしてその間にうねっている。幾つかの凸凹の一凸部の端に仮御所はある。もと東伏見大妃殿下のおられた天井の高い旧式の洋館である。食堂に下りて来られる以外、皇太子殿下は主にその二階にお住居になっている。東に面して三つの部屋が並んでいる。御進講堂、御座所(書斎)、そうして「ピアノの間」である。ピアノの間といっても別に音楽室ではな

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