しょうかまんぴつ
書き出し
昨年の夏は油汗を流しながら、改造社から頼まれたフローベールの短篇『エロディヤス』を訳して暮した。秋から冬にかけては、河出書房の『モーパッサン傑作集』のために、時々思い出したように『水の上』と『狂女』とをぼつぼつ訳した。暫く翻訳というものから遠ざかっていたので、フローベールやモーパッサンを訳しつつ、罕には翻訳も修業になってよいものだと思った。読んだだけでは逸し易い文体の特質が訳して見て明瞭する点も頗…