すいぼく
書き出し
九月二日の頃、下町の火の手怖ろしく、今にも根津の方角へ延びて来そうに見え、根津に来れば、自分の宅あたりも一なめになるかならぬかというところ、ともかく家中のものの不安が、遂に一応家財の始末をせしむる事となる、妹が、兄さんのものは何と何ですか、と問う、文徴明の軸と墨だけ、行李の隅へ入れて置いてくれと答えた。古の大家も、作ったもの必ずしもみな名作ならず、名作は又、どんな素人にも、永い間にはその尊い匂いを…
ayameさんの感想
著者名を存じ上げず、名前に惹かれて読んだ。 また、じっくり再読したい。 良いものは(人の手により)自然に残る途をたどり、そうでないものは自然に淘汰されるらしい。 雪舟の水墨画を味わってみたくなった。