青空文庫

「解説 趣味を通じての先生」の感想

解説 趣味を通じての先生

かいせつ しゅみをつうじてのせんせい

初出:「舞台 岡本綺堂追悼号」1939(昭和14)年5月

額田六福14

書き出し

松の樹が嫌いだった。「君、あれは放蕩息子だよ。」冗談によくそんな事を云われた。誰もが知っている通り、春夏秋冬と、松の木位手入れに手数のかかる木は尠い。自然物入もかさむ。全くやっかい至極な放蕩息子だ。が、しかし、先生が松を愛されなかったのはそう云う手数がかかるとか、物入が嵩むとか云う理由ではなかった。手入は植木屋にやらせればいいのだし、費用だって先生の懐を脅かすほどの事はないし、又必要なら何百金でも

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