青空文庫

「忠僕」の感想

忠僕

ちゅうぼく

書き出し

1嘉吉は山の温泉宿の主人だった。この土地では一番の物持で、山や畑の広い地所を持っていた。山には孟宗の竹林が茂り、きのこ畑にきのこが沢山とれた。季節になると筍や竹材を積んだトラックが、街道に砂埃をあげ乍ら、七里の道を三島の町へ通って行った。嘉吉はまだ三十をちょっと越したばかりの若い男だった。親父が死んだので、東京の或る私立大学を止めて、この村へ帰って来た。別段にする事もなく、老人を集めては、一日、碁

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