青空文庫

「読書と著書」の感想

読書と著書

どくしょとちょしょ

初出:「図書」岩波書店、1940(昭和15)年7月

書き出し

1「貴下は今何をして居られるか。」と、よく人に聞かれる。実のところ、私は少数の青年たちに古い書物の講義をして居るのである。第一に聖書、第二にアウグスチヌスの『神の国』、第三にアダム・スミスの『国富論』。尤もこの中第一と第二は素人学問であるから、専門家から見れば幼稚なものであるにきまってる。併し古典を読むのは真に楽しい。何千年何百年という「時」の試煉を経た書物で、しかも単に考古的好事家の玩弄物でなく

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