青空文庫

「山果集」の感想

山果集

さんかしゅう

初出:仔羊「四季 三號」1935(昭和10)年1月

三好達治13

書き出し

仔羊海の青さに耳をたて圍ひの柵を跳び越える仔羊砂丘の上に馳けのぼり己れの影にとび上る仔羊よ私の歌は今朝生れたばかりの仔羊潮の薫りに眼を瞬き飛び去る雲の後を追ふ雷蝶雷の後かみなり蝶が村へくる村長邸の裏庭の百合の花粉にまみれてくる交番のある四辻で彼女はちよいと路に迷ふさうして彼女は風に揚る椎の木よりもなほ高く火ノ見櫓の半鐘よりもなほ高く海邊雨後の横雲そのもとに鳶の啼くわが旅の空黎明二つ四つ砂上に咲いた

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