くさせんり
初出:南の海「新潮 三三卷一號」1937(昭和12)年1月、
書き出し
枕上口占もとおのれがさえのつたなければぞ、集ならんとする夜半……私の詩は一つの着手であればいい私の家は毀れやすい家でいいひと日ひと日に失はれるああこの旅のつれづれの私の詩は三日の間もてばいい昨日と今日と明日とただその片見であればいい又私の詩は明け方西の空にある昨日の月やがて地平の向ふに沈む昨日の月への餞けだ既に私はそこにないそれは私の住處でない讀む人よ憐れと思へ私の詩が私を驅る私を驅る涯しない流沙…