青空文庫

「薄暮の貌」の感想

薄暮の貌

はくぼのかお

書き出し

暦の上では、もう初秋だとは云ふものの、まだ残暑がきびしく、風流を心にたゝむ十数人の男女を打交へた一団にとつて、横浜の熱閙を避けた池廼家の句筵は、いくぶん重くるしさを感ぜしめた。細長い路地に、両側を※かなにかの生籬にしてあるのはいゝとして、狭い靴脱から、もう縁板がいやに拭き光りがしてをり、廊下を踏んでゆくと、茶黒い光沢を帯びたものが韈を吸ひとるやうにひつぱるのである。料理屋へ、風流気に出かけて先づ天

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