おんなくつしたのはなし
書き出し
女靴下の話西東三鬼人間五十年以上も生きていると、誰でも私の経験したような、奇々怪不可思議な出来事に一度や二度はあうものであろうか。恥を語らねば筋が通らない。話は私の朝帰りから始まる。およそ朝帰りなるもの、こんないやな気持のものはない。良心の苛責といつてしまえばそれまでだが、もつと肉体的な、たとえばズボンのうしろに自分だけが尻尾をぶらさげて歩いているような、みじめな気持である。さてその朝帰りの玄関に…