青空文庫

「かめ」の感想

かめ

かめ

初出:「沖縄毎日新聞」1912(明治45)年1月23日

濤音2

書き出し

まがどりのやうな冠船が翼をひろげて那覇港内にしやんで居るうちは薩摩の殿にはあへまいわなあ。凛々しい殿のかみしも姿が眼の前にまざまざと浮んでくるやうな。—殿はいま露つぽい美里間切を深編笠のしのびあるき。あゝなさけない世となつた。ついあけがたまでなつかしい殿御と添寝の夢の名残は室の隅にも残れど。うらめしい開門鐘に空が白むとむつくり起きあかりて仰せらるゝ「さらばかめイしばらくは待つてくれ。」「妾もついて

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