こうじょのうた
初出:「黒色戦線」1929(昭和4)年7月号
書き出し
六月、湖に油を流して、太陽は照り返り、煙突は、貪慾に膨れあがり、山の中腹までのさばった工場の煙に、青葉は、私達の顔色のように蒼ざめた。幾万の釜が蒸しかえす熱気のなかで、何と立ちの悪い繭だろう、糸屑ばかりが指にからみついて、今月も稼ぎ高と罰金とが棒引きだ、女王の「素質改善」は「罰金制度」を作ることだった、養成工女は毎月国へ手紙を書かされた、「監督さんは親切だし、仕事は楽だし——近い中に、旅行に連れて…