しりつきょうどうしゅくはくじょ
初出:「詩精神」1935(昭和10)年4月号
書き出し
とさつ場のようにむんむんとしたいきれ、悪臭がふんと鼻したにたれてくる。ひとつひとつの寝台が継歯のように波立っている。堂々と街ののど笛に背筋を暗く震わしている鉄筋コンクリトの四階建。まるで寄生蟹のように茶溜小屋でうごめいている宿泊人の群、どぶ酒くらったずくさい息をはきながら遠く北海道の釧路のかんごく部屋からにげてきたという北海熊、朝鮮のはしから渡ってきた韓、十二のとしに九州から売られ歩いてきたやもめ…