はるかなるどうけい
初出:「生活と芸術」1915(大正4)年11月号
書き出し
所有者『万物は万人のものなり、何人の私有すべきものに非ず』この思想のいかに当然にして、しかして美しくして、しかして、いかに遠く我らの相距りたることよ!我らは何物をも持たず、げに何物をも持たず、街を歩みて何物の一つをも、これを自由にし、使用し、消費する能わず、石ころの一つにも、一木の枝にも、その所有主の名は刻さる。げに我らは、暖かなる日光に浴し、空気をも(その清新なるものを)呼吸し能わず。欲求我等は…