青空文庫

「一枝について」の感想

一枝について

ひとえだについて

初出:「国民文学」1942(昭和17)年1月号

鍾漢1

書き出し

年おいた山梨の木に年おいた園丁は林檎の嫩枝を接木した研ぎすまされたナイフををいてうそさむい瑠璃色の空に紫煙を流したそんなことが出来るのでせうかやをら園丁の妻は首をかしげたやがて躑躅が売笑したやがて柳が淫蕩した年おいた山梨の木にも申訳のやうに二輪半の林檎が咲いたそんなことも出来るのですね園丁の妻もはじめて笑つたそして柳は失恋したそして躑躅は老いぼれた私が死んでしまつた頃には年おいた園丁は考へたこの枝

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