ふるいどのあるふうけい
初出:「芸術科」1938(昭和13)年6月号
書き出し
しだれ柳はおいぼれてゐて井戸のそこにはくつきりと碧空のかけらが落ちてゐて閏四月おねえさまことしも郭公が鳴いてゐますねつつましいあなたは答へないで夕顔のやうにほほゑみながらつるべをあふれる碧空をくみあげるつるべをあふれる伝説をくみあげる径は麦畑のなかを折れて庭さきに杏も咲いてゐるあれはぼくらの家まどろみながら牛が雲を反芻してゐるほら水甕にもおねえさま碧空があふれてゐる底本:「〈外地〉の日本語文学選3…