青空文庫

「六日月」の感想

六日月

むいかづき

書き出し

朝早く一乗寺村を歩いて、それから秋晴の八瀬大原、帰りに鞍馬へ登って山端の駅まで戻って来ると、折から小春日の夕日を受けた叡山が、ぽか/\と如何にも暖かそうな色をして居るので、つい誘われて再び八瀬へ取って返し、其処から山を踰えて坂本へ下りてしまった。我れながら余りの愚しき勇猛が悔いられて、その夜は心静かに高台寺の下を歩く。秋も漸く深い夜を、東山の影は黒々と眠って居たが、恵比須講の灯に明るい四条通り、殊

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