青空文庫

「菓子の譜」の感想

菓子の譜

かしのふ

書き出し

いま生きて居れば、すくなくとも百ちかい年の人であらう。或は百を踰える年なのかも知れない。明治時代の海軍の軍医である。その頃の軍艦といふものは、厳めしくはあるが同時に美しいもので、それはただ平和を保障する象徴のやうな時代であつた。ふねも小さく、たかだか二三千噸のものが大きい方で、到るところの小さい港まで訪問して、人民たちに敬はれ、喜ばれ、珍しがられ、愛された時代であった。その軍医は非常な甘い物好きで

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