イーリアス
02 例言
02 れいげん
書き出し
(一)梗概「イーリアス」とは「イーリオン(トロイエー即ちトロイア)の詩」といふ意味である。本詩の歌ふところは、アカイア(ギリシヤ)軍勢が十年に亙つて、小亞細亞のトロイアを攻圍した際起つた事件中の若干部分である。是より先、トロイア王プリアモスの子パリス(一名アレクサンドロス)が、スパルタ國王メネラーオスの客として歡待された折、主公の厚情を裏切つて、絶世の美人、王妃ヘレネー(ヘレン)を誘拐して故國に奪…